児童虐待等について

ABOUT CHILD ABOUSE ETC.

子どもの貧困
子どもの貧困

貧困の定義には「相対的貧困」と「絶対的貧困」の二種類があります。

絶対的貧困
地球で生きるにあたり、最低限必要と考えられている食料・生活必需品を購入するためのお金がない状況のことを指します。
相対的貧困
OECD(経済協力開発機構)では、国の全人口における所得の中央値を算出し、その半分未満の者を相対的貧困者としています。相対的貧困率は、単純な購買力よりも国内の所得格差に注目する指標であるため、日本など比較的豊かな先進国でも高い割合が示されます。
子どもの貧困
子どもの貧困とは、その国の相対的貧困者のうち、17歳以下の子どもの存在及び生活状況を指します。

日本の子ども6人に1人が貧困状態

私たちの実質所得は、1990年代末にピークを迎えた後には下落を続け、現在は30年前の水準に戻っています。一方で、相対的貧困率は着実に伸び続け、現在一人あたりの等価可処分所得(家計所得を家計人数の平方根で割ったもの)が110万円以下の貧困家庭は16%となっています。特に貧困率が深刻なのは母子家庭で、3分の2の母子家庭では世帯収入が300万円以下です。

日本の実質所得と相対的貧困率の推移
日本の実質所得と相対的貧困率の推移
  1. 相対的貧困率
  2. 子どもの貧困率
  3. 実質所得(万円)
母子世帯の世帯年収の分布
母子世帯の世帯年収の分布

日本の貧困率は、
先進国でも最低レベル

2014年のOECDのまとめでは、日本の子どもの貧困率は、先進国34ヶ国中10番目に高い数字でした。
日本国内では、厚生労働省が2014年にまとめた報告書によると、日本の子ども(17歳以下)の相対的貧困率は16.3%(2012年)でした。これは、日本の子どもの約6人に1人が貧困状態にあることを示しています。
「子どもの貧困」の問題は、もはや国内外の共通問題になっています。

※右図は2009年の子どもの貧困率(15.7%)で国際比較している。

日本の貧困率

児童虐待について

ABOUT CHILD ABUSE

児童虐待の定義

身体的虐待 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
児童相談所における児童虐待相談対応件数の内訳

  • 種類別
    種類別
    88,931(100.0%)
    心理的虐待が43.6%で最も多く、次いで身体的虐待が29.4%となっている。
  • aaa
    虐待者別
    88,931(100.0%)
    実母が52.4 %と最も多く、次いで実父が34.5%となっている。 ※その他には祖父母、伯父伯母等が含まれる。
  • aaa
    虐待を受けた 子どもの年齢構成別
    88,931(100.0%)
    小学生が34.5%と最も多く、次いで3歳から学齢前児童が23.8 %、0歳から3歳未満が19.7%である。 小学校入学前の子どもの合計は、43.5%となっており、高い割合を占めている。
    平成26年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数の内訳

虐待を受けた児童の増加

児童虐待の増加等に伴い、児童虐待防止対策の一層の強化とともに、虐待を受けた子どもなどへの対応として、社会的養護の量・質ともに拡充が求められています。

福祉行政報告例
福祉行政報告例
虐待を受けた経験を持つ子どもが急増している
児童養護施設に入所している子どものうち、約6割は虐待を受けた経験がある。
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毎年、100人前後の子どもが虐待により命をなくしています。

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障害等のある児童の増加

社会的養護を必要とする児童においては、障害等のある児童が増加しており、児童養護施設において28.5%となっており4人に1人が障害等のある児童となります。昭和62年と比較し平成25年では約3倍以上の割合となっています。
※ADHD(注意欠陥多動性障害)については、平成15年より、広汎性発達障害およびLD(学習障害)については、平成20年より調査、それまではその他の心身障害へ含まれていた可能性があります。

障害等のある児童の増加

虐待という言葉について

日本では「child abuse-チャイルド・アビューズ-子ども虐待」と使っています。しかし、子育てに苦悩し、解決策が見つからず、わが子に手を挙げてしまうような保護者のことを考えると、「虐待」はきつい感じを受ける言葉です。チャイルド・アビューズは、子どもの濫用と訳すことができ、「虐待」とせずにもっと柔らかな表現にできなかったのかと疑問に思うところです。
専門家たちの間では「不適切な関わり-maltreatment-マルトリートメント」という言葉を使うのがいいのでは、という考え方もあります。虐待よりも広義で、家族外からの不適切な関わりも含む言葉とされています。しかし現状では、なかなかよい言葉が見つかりません。
心配されるのは、「虐待」という言葉を使うことにより、一生懸命に育児してきた日頃の努力を、すべて否定されたと保護者が感じてしまうかもしれないことです。迷っていること、困っていることについて「ひとつひとつを一緒に解決していきましょう」という気持ちで、周囲の人たちは接することが大切だと思います。しかしケースによっては、あなたがしていることは子どもへの虐待なのだ、と伝えることが気づきにつながることがあります。そして、子どもへの行為が沈静化することもあります。
児童相談所や保健師さんなどに専門的に相談に乗ってもらうこと、子ども虐待防止の電話相談に電話して話を聞いてもらうことなど、保護者自身も、地域の方々も、抱え込まずに誰かに相談するようにしましょう。

虐待としつけの違い

「児童虐待の防止等に関する法律」により、子ども虐待の定義は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待となりました。しかしこの定義が明らかになっても、なお、子ども虐待とはなんぞや、と考えさせられる場面があります。それは、虐待としつけの違いについてです。 虐待としつけ。この二者間には、しっかりと線引きできないグレイゾーンが存在します。が、多数の事例に関わってきた福祉、保健関係者や精神科医、小児科医などが言うように「子どもが耐え難い苦痛を感じることであれば、それは虐待である」と考えるべきだと思います。 保護者が子どものためだと考えていても、過剰な教育や厳しいしつけによって子どもの心や体の発達が阻害されるほどであれば、あくまで子どもの側に立って判断し、虐待と捉えるべきでしょう。 多くのケースでは、保護者が子育てに苦労されている現実がありますから、その気持ちを大事に考えることも大切です。

児童虐待死事例

CASE OF CHILD ABUSE

児童虐待相談件数は年間10万件を超え、毎年100人前後の子どもが虐待により命を落としています。
これらの事例は、ほんの氷山の一角に過ぎません。

東京都葛飾区児童虐待死事件
  1. 2014年1月30日。東京都葛飾区で児童(2歳)が肝臓損傷で失血死し、ろっ骨が折れ、40か所も体にあざがあり、父親が逮捕された事件。
  2. 児童相談所は児童を「見守り中」であったが、児童相談所から警察に情報提供はなかったため、殺害される5日前に110番通報で臨場した警察官が「夫婦喧嘩です」という親の嘘に騙され、40か所もあったあざを確認できず、虐待と認識できなかった。
久留米市児童虐待死事件
  1. 2010年6月、母親と二人暮らしの5歳の保育園児の児童がマンションで母親に立たされたまま首に7キロものペットボトルをかけられ苦しみのあまりもがいて心臓が破裂し殺害された事件。保育園から児童相談所に虐待通告があり、その後も何回もあざができているのを把握し、母親が虐待を自認し、アルコール依存症のおそれもあったにもかかわらず、児童相談所は一時保護しなかった。

川崎市児童虐待死事件
  1. 2008年11月、3歳の児童が母親と同居男性から殴られる、水ぶろに長時間つけられる、水の入ったペットボトルを持った手をガムテープで固定したまま立たせられたままにされるなどの凄まじい虐待被害を繰り返し受けていたが、腹部を強打され、殺害された事件。児童相談所は、保育所から通告がなされ、男性との同居も知りながら、リスクアセスメントの見直しもせず、親と面談もせず、一時保護もしなかった。
岸和田市中学生餓死寸前事件
  1. 2004年1月、当時15歳の中学生の男子が父親と同居の女から1年半にわたり食事を十分に与えられず餓死寸前で救出されたが、重度の知能障害、身体障害が残った事件。
  2. 不登校が続いていたことから学校が家庭訪問したが父親らに会わせてもらえず、中学校から児童相談所に2度相談したが、児童相談所は全く何の対応もとらなかった。

苫小牧母親の置き去り事件
  1. 北海道苫小牧市の無職A子(当時20歳)は日頃から子供を疎ましく思い、この日子供2人にチャーハンを食べさせた後、置き去りにしたまま鍵をかけて市営住宅を出た。A子は交際相手のところに泊りこんでいたのだが、約1か月後に自宅に戻ったところ三男(1歳)が餓死していた。「ママ、遅いよ」と駆け寄ってきた長男(当時4歳)は、生米や生ごみ、マヨネーズなどを食べて生き延びた。A子は家に戻る時、「2人とも死んでいる」と思っていたという。さらに三男の遺体を交際相手の家の物置に隠していた。札幌地裁室蘭支部・杉浦正樹裁判長は「幼い兄弟の飢えと苦痛は想像を絶する。 計画的で非情で残酷な犯行」と言い切り、A子に懲役15年(求刑同20年)を言い渡した。

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