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Zidonetです。
【10月は「里親月間」です】
皆さんは「里親」という言葉に
どんなイメージを持っていますか?
もしかしたら、すぐに思いつくのは
「ペットを育ててくれる人」
というものかもしれません。
実際、この記事を書いている
令和2年10月現在、
ネットで「里親」を検索すると、
上位にくる記事は「ペットの里親」
関連の記事でが多いです。
ただ、今回ご紹介するのはペットではなく、
子どもたちのための「里親」になります。
動物と同じ名称が使われていることに
違和感や衝撃を受ける方もおられるかもしれません。
しかし、
もとはといえば「里親」は子どもたちのための言葉です。
実際、日本では今から70年も前に正式に里親制度が始まっており、
それ以来ずっと使われてきた名称だからです。
悲しい現実として、
“予期していなかった妊娠” や “親による虐待” など
様々な事情によって実の親と暮らすことができない
子どもたちが現在、約4万5千人いると言われており、
その約8割は今も児童養護施設や乳児院のような
「施設」で暮らしています。
約2割の子どもたちは「里親」の元へ委託され、
養育者と共に過ごしています。
この「4万5千人」という数字。
この人数をイメージするために、
私たちの住んでいる千葉県にある「富津市」に当てはめてみます。
富津市は、東京湾に面しているとてもきれいな場所になります。
この富津の人口が45,601人(2020年8月現在)です。
そう考えると、里親を必要とする子どもの数が
どれほど多いのか想像していただけると思います。
この記事では、
そんな“子どもたちのため”にある
「里親制度」について紹介していきたいと思います。
【里親についての基礎知識】
では、まず「里親制度」について
基本的なことから見ていきましょう。
【里親とは?】
里親とは簡単に言うと、
親と離れて暮らしている子どもたちを、
自分の家庭に迎え入れて養育する
“社会的な親”のことです。
そして、
その枠組みとなるのが「里親制度」で、
児童福祉法という法律に基づいています。
実の親が養育できない子どもを、
里親に養育を委託する制度のことになります。
海外では一般的になっている里親制度ですが、
日本ではまだまだ根付いているとはいえません。
実際に、里親について正しく理解している人も少ないのが現実です。
そこで、厚生労働省はこの「里親」という大切な役割を担う方々を
今後、5年から10年をかけて制度を充実させ、
増やしていこうという目標を立てています。
ですから、
今後ますます私たちの周りに里親として
大切な役割を担う人たちが増えていくかもしれませんね。
【里親制度の目的】
里親制度の目的は、
「子ども達が健全な養育機能をもった家庭で、
温かい愛情と正しい理解に基づいて
健全に成長できるようになる」
とまとめることができます。
覚えておきたい大切な点として、
里親制度は「子どもたちのため」にあるということです。
子どもを育てたい大人たちのためのものではありません。
ですから、誰でも簡単に里親になれるわけではなく、
事前の調査や研修などを経て登録された
「子供たちにとって必要な環境を整えることができる」
家族のみが里親になることができます。
制度についての詳細は当ブログの
以前の記事にまとめてありますので、
ご確認ください。
↓
虐待などを理由に、
社会的養護を必要とする子どもの多くが施設にいますが、
施設の集団生活では一人一人の子どもに寄り添い、
成長に合わせたケアを受けることが難しいと言われ、
家庭的な環境で成長することが出来ません。
現在、児童養護施設などにおいても
施設の小規模化や個別ケアの充実が国を挙げて急がれています。
このような現状を考えると、
「里親制度」の必要性や緊急性が理解できます。
【「里親制度」と「養子縁組」との違い】
「里親」という言葉聞いて、
一般の方々がまずイメージするのは、
自分の子どもとして受け入れ育てる「養子縁組」
と言われるものかも知れません。
「里親」と「養子縁組」は、
子どもを養育するという点では
共通している所もありますが、
制度としては別のものになります。
大きな違いとしては 、
「里親制度」 は行政が子どもたちに提供している
福祉サービスであるという点です。
ですから、
里親には法的な親子関係はなく、
行政から里親手当や養育費も支給されます。
現在、日本に里親がなかなか増えない理由の一つとして、
この経済的なサポートについて知られていないことがあります。
里親には毎月9万円の里親手当て(2人目以降も9万円)と、
1人当たり約5万~6万円の一般生活費が行政から支給されます。
その他、
幼稚園費、教育費、入進学支度金、就職支度金、
大学進学当支度金、医療費、通院費などについても補助があります。
ですから、里親になるからといって、
過度に経済的な心配をする必要はありません。
里親の場合、
養育期間は数日から数週間という短期間から
十年以上という長期間まで様々ですが、
養育している里子が18歳(または20歳)になると
基本的に委託は解除されます。
また、里親には親権がないため、
里子に関して重要な決定をする時には
実親や行政(児童相談所など)に相談をしなくてはいけません。
これに対して、
「養子縁組」は法的な親子関係が成立させる制度ですので、
もちろん手当や養育費もありません。
法的な家族になっているので、
特別な事情がない限り親子関係は年齢に関係なく続きます。
「特別養子縁組(実親との親子関係は解消される)」 の場合でも、
「普通養子縁組(実親との親子関係は残る)」 の場合でも、
親権を持つことになるので、
重要な決定も基本的には里親が行うことができるようになります。
里親制度には養子縁組を前提としている 「養子縁組里親」 という制度もあります。
【まとめ】
今回は、あまり知る機会のない里親制度について、
いくつかの基本的ポイントを考えてきました。
ただ、忘れてはいけないのは、
養子縁組をするにせよしないにせよ、
里親になるというのは簡単なことではないということです。
現在、国を挙げて里親制度の啓発活動が行われていますが、
一般家庭で子育てをすることと同様、
または、それ以上に多くの苦労や忍耐などが必要であることも確かです。
しかしその反面、
養育の日々の中で、子どもたちから受け取る
喜びも計り知れません。
辛い状況にある子どもが家族の温かさを知り、
その後、生涯にわたって幸せに暮らすための
お手伝いをすることができるからです。
もし、あなたが里親に興味があるのであれば、
ぜひ忘れないでください。
あなたの手には、子供たちの笑顔を守る力があるのです。
Zidonetでは里親制度について分かりやすくまとめた動画も準備しています。
委託費などの情報は若干古いですが…
以下にご紹介いたしますのでぜひご覧になってくださいね。
里親にご興味を抱かれた方は、
お近くの児童相談所へ一度ご相談ください。
「誰もが『生まれてきて良かった』と思える社会へ」Zidonet
「里親制度とは①~里親の種類・必要な経費支給~Zidonet」