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【ファミリーホームって何?】
今回は、日本の社会的養護において、
児童養護施設や乳児院のような「施設養護」と、
養育里親などの「家庭養護」、
その両者のメリットを合わせ持っていると言われる
「ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)」について
ご説明していきたいと思います。
現在、様々な事情で実親の元で養育されていない子どもたちを
社会全体で育てる、つまり「社会的養護」を推進するために
様々な事業が進められています。
そしてこれまで紹介してきた「里親制度」の中で
「家庭養護」の1つとして位置づけられる
「ファミリーホーム」も、その重要な一端を担っています。
平成21年に制度化され、まだまだ一般に知られていない「ファミリーホーム」。
この記事を通してなぜ行政がファミリーホームを推進しているのか、
どんなメリットがあるのかを皆さんに知っていただければ嬉しいです。
【ファミリーホームについて】
厚生労働省は、2008年(平成20年)の児童福祉法改正により、
全国的に「ファミリーホーム」つまり「小規模住居型児童養育事業」の実施を始めました。
また、2011年7月に行われた社会的養護の課題に関する検討委員会では、
2029年までに、以下の目標を達成したいと考えていることが発表されました。
社会的養護を必要とする子ども達の、
3分の1を、里親やファミリーホームで、
3分の1を、グループホームで、
3分の1を、児童養護施設等で養育する。
では現状はどうなのでしょうか?
少し古い資料になりますが、厚生労働省によると2017年(平成29年)12月時点で、
社会的養護を必要とする児童は約45,000人で、その内の1,356人が全国の313か所のファミリーホームで養護されているということでした。
また里親に委託されている児童数は5,190人であり、ファミリーホームと合わせると6,546人になります。
この数字を見てみると目標とする全体の3分の1(約15,000人)の44%ほど達成されていることがわかります。
国は、児童養護施設や乳児院などの施設を、より家庭的な環境に近づけるよう「小規模化」を推進しており、
現在、施設・里親などの枠を超えて、子どもを中心とした社会的養護環境の整備が着実に進められています。
そうした背景はあるものの、社会的養護を必要とする子どもたちの約85%が施設で生活をしている実情があります。
(もちろんこれは3年前の数値になりますので、現在はさらに沢山の子どもたちが里親やファミリーホームといった
家庭養護の環境下で養護されていると思います)
そして子どもたちの最善の利益を考えると、里親やファミリーホームなどの家庭養護体制をより強化することは急務であると言えるのです。
では次にファミリーホームとはどんな特徴を持った制度なのかご説明します。
【ファミリーホームの特徴とは?】
ファミリーホームは個人やNPO法人、社会福祉法人が主体となって運営されていますが、
基本的には里親制度を発展させた制度であり、里親家庭と同じように家庭で子どもを育てることを目的しています。
定員は5~6名であり、児童養護施設やグループホームなどの施設に比べて、より家庭に近い環境で養育することができることが特徴です。
この制度についてあまり聞いたことがない人には分かりにくいかもしれないので、もう少し説明させてください。
「ファミリーホーム」は、子どもたちを育てるための“施設”ではなくその名の通り“家族と一緒に住む家”のことです。
子どもたちの養育者も一緒に住んでいますので、基本的には施設などの交代勤務とは異なり、
子どもたちにとっては里親の家で生活することとほぼ同じ環境になります。
それで制度の中でも「家庭養護」として、里親と同じ位置づけになっています。
では里親と何が違うのかというと、里親は最大4人までの子どもを養育できるのに対して、
ファミリーホームでは6人までを養育することができます。
その分、養育者に求められるものも大きくなり、十分な養育里親としての経験や、
施設などでの養育経験を持っていないとファミリーホームを開設することが出来ないといった条件もあります。
【「グループホーム」と何が違うのか?】
「ファミリーホーム」と似ていて間違えやすいのが
「グループホーム」で、これは「地域小規模自動養護施設」になります。
6人の定員というのは「ファミリーホーム」と同じなのですが、
職員がそこに一緒に住んでいるわけではなく、
自宅から通ってくるので、子どもにとって完全に家庭と同じというわけではないことが大きな違いです。
ですから「家庭的養護」として「施設養護」の一部として位置づけられています。
現在は一番大きな施設である「児童養護施設」でも
6人を原則として小規模グループによるケアが行われていますので、
可能な限り子どもたちにとって最善となるような努力が払われていますが、
やはり子どもたちにとって一番いいのは施設ではなく家庭であり、
里親やファミリーホームが、出来る限りそれを担う事ができるようになりたいものです。
【ファミリーホームのメリットとは?】
ファミリーホームは、「施設を小さくしたものではなく、里親を少し大きくしたものである」と説明されることがあります。
これは、ファミリーホームの理念として常に子どもたちの成長を第一に考え、
家庭的な雰囲気を大切にするという思いが込められているものです。
これは、とても大切で忘れてはいけない理念ですが、さらに一歩進めて考えてみると、
ファミリーホームは「施設」と「里親」の両方のメリットを合わせ持つカタチであるとも言えます。
例えば実親の中には子どもを「里親」に預けてしまうと、子どもをそのままとられてしまうのではないか…、
実親である自分と里親を比べてもう戻って来てくれなくなるのではないか…という心配をされ、
事情はあっても子どもを預けることに抵抗を感じる実親も少なくありません。
これは、実際に日本で里親制度がなかなか浸透しない理由の1つ
として挙げられているのですが、ファミリーホームは、
一般のイメージとして「施設」的な部分も少なからずありますので、
安心して預けてくれるケースもあるようです。
また、ファミリーホームの最大の利点は、「子ども同士の育ち合い」にあるとも言われています。
親のような存在が近くにいる環境で、色々な年齢の子どもたちがお互いに影響し合って育つ。
これは、大人数の施設でも、大半の里親家庭のように1人だけを養育している環境でも
作り出すことができないものであるとも言えます。
より家庭に近い環境で育ち、元気に「行ってきます!」といって地域に出ていき、
地域・人と関わり、「ただいま!」と帰ってくる。
そんな「当たり前」の生活をファミリーホームでは目指しています。
【まとめ】
今回は簡単ではあるものの、ファミリーホームについて考えてきました。
虐待など様々な理由で親と暮らすことができない子どもたちが、一人でも多く里親家庭やファミリーホームといった
“家庭“もしくは”家庭に近い環境“で生活できるように、私たちも出来る限りのことを考え、実践していきたいと思っています。
もし里親やファミリーホームについて興味がありましたら、Zidoentへご連絡ください。
ファミリーホームの制度について詳しくはこちらをご覧ください。
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