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Zidonetです。
社会的養護を必要とする子どもたちを日々養育する里親さん。
その生活の中で起こり得るいろいろなリスク。
それらを時に1人もしくは1家族で背負う不安を少しでも軽減するため、
子どもたちとの安心・安全な生活を継続するため、
加入する保険があります。
【里親総合保険制度について】
団体保険契約者:公益財団法人全国里親会
【里親総合保険制度とは?】
皆さんは「里親総合保険」を知っていますか?
これは公益財団法人全国里親会が団体契約者となっている保険で、
全国里親会に所属している各地域の「里親会」が団体として加入することができます。
(千葉県では「千葉県里親会」、千葉市では「ひまわり会」が会員です)
基本的に「個々の里親がそれぞれ加入する」のではなく、
「里親会が加入できる保険」である、という点が一つのポイントになります。
ですから個々の里親の皆さんは、地域の里親会に入会することで、
この「里親総合保険制度」を利用することができます。
ちなみに保険のコースやオプションなどはそれぞれの里親会が決めることになりますので、
保険内容の詳細については加入者である各里親会へお問い合わせください。
【里親総合保険にはどんな補償が含まれますか?】
ではここから里親総合保険の要点をまとめていきたいと思います。
この記事を読めば里親保険の概要を把握することができるかと思います。
【基本補償 ①里親への賠償責任補償】
これは簡単に言うと次の2点の補償になります。
(1)業務中の里親の賠償補償
(2)12歳未満の委託児童が原因で里親に賠償請求がなされた場合の補償。
日本では一般的に子どもに責任能力(自分のやった行為によって、
どんな法律上の責任が発生するのかを判断できる能力)が認められるのは12歳前後とされています。
12歳未満の委託児童が法律に触れる行為をした時には、
その子どもではなく里親に損害賠償責任が生じる場合が多いために、
その部分の補償もカバーしてくれる保険は本当に心強い味方だといえます。
例えば、
里親が作った料理で委託児童が食中毒になってしまった場合に(1)の補償が適用されます。
また委託児童が遊んでいて学校や他人の家の窓ガラスを割ってしまったり、
車を傷つけてしまったりした場合には(2)補償が適用されます。
どちらの場合にも「お見舞金」と「初期対応費用」が支払われることになりますので、
委託児童に本当に責任があったかどうかに関わらず大きなトラブル(訴訟など)に発展しないよう、
被害者へのお詫びの品やお見舞い金などの対応をすぐに行うとともに、
かかった全ての費用(交通費なども)の領収証や記録を保管しておくようにしましょう。
里親会を通して必要な手続きをすれば補償範囲に応じてお金が戻ってきます。
【基本補償 ②12歳以上の委託児童への賠償責任補償】
責任能力があるとみなされる12歳以上の委託児童全員に対しては、
自動的にこの補償が適応されますので安心です。
偶然他の人の物を壊してしまったり、ケガをさせてしまったりした場合に
本人にかかる損害賠償責任を補償してくれます。
また、委託児童本人が死亡したり後遺障害を抱えたりしてしまった場合にも保険金が支払われます。
例えば、
委託児童が自転車に乗っている際に歩行者や自転車と衝突し相手にケガを負わせてしまった場合や、
遊んでいて付近にある物や車を破損させてしまった場合などにその被害額が補償されます。
【オプション補償 里親のケガ・家財に対する補償】
この里親総合保険には突然に起こった里親のケガや、
偶然の事故による家財の損害に対する補償も入っているのは本当に嬉しいですね。
この保険では以下の里親自身のケガや死亡に対する補償が含まれています。
(1)死亡保険金(全コース補償:100万円)
(2)後遺障害保険金(全コース補償:100万円)
(3)入院保険金(※オプション:3千円/日)
(4)手術保険金(※オプション:入院を伴う場合-3万円 / 外来手術-1万5千円)
(5)通院保険金(※オプション:千円/日)
例えば、委託児童に危険が生じたために里親がかばってケガをした場合や、
委託児童が暴れた際に里親がケガを負ってしまった場合に治療費が補償されます。
最初に注意したいのは、里親の家財に対する補償についてはオプションとなり、
各里親会が選択したコースによって補償されるかどうかが決まるという点です。
まずは所属している里親会へ問い合わせてみましょう。
また他にも注意したいのは、家財の全てが保証されるわけではなく、
「生活用動産」(生活に必要な家具・家電製品・衣服・その他の動産)に限られるという点です。
保険金は「再調達価格」(保険の対象家財と同一の構造・質・用途・規模・型・能力の物を
再取得する際に必要な金額)から自己負担額の3千円(1回の事故につき)を引いた金額で支払われます。
例えば、委託児童が誤ってテレビ・ベッド・机・椅子・棚・食器・時計などを
損壊してしまった場合には、その損害が補償されます。
※生活動産とはみなされないものについては補償の対象外になります。
以下に補償範囲外の物品についてご紹介します。
・携帯電話やスマホなどの携帯式通信機器、パソコンなどの電子事務機器や付属品
・コンタクトレンズ、メガネ、サングラス、補聴器など
・入れ歯や差し歯、義肢など
・動物や植物
・自転車、ハンググライダー、サーフボード、ウィンドサーフィン、ラジコン、これらの付属品等
・自動車、原動機付自転車、ヨット、モーターボート、水上バイク、ボート、カヌー、
雪上オートバイ、ゴーカート、その他
・手形や有価証券(小切手を除く)
・クレジットカード、ローンカード、プリペイドカード類
・ドローンや無人航空機、模型航空機やこれらの付属品。
ここに上げたのは代表的なものですが、
このようなものを損壊してしまった場合には補償されませんので注意してください。
【質問:こんな場合は支払われるの?】
委託児童を車で送迎している際に交通事故を起こしてしまいました。この場合は補償されますか?
⇒ 里親賠償保険では保証されません。自動車に関する事故は自動車保険の補償範囲です。
短期里親でも適用されますか?
⇒ 各里親会より全国里親会へ該当短期里親の名簿が提出された場合には対象になります。
短期里親に一時保護は含まれますか?
⇒ 一時保護は短期里親には含まれず、保険上では通常委託契約になります。
一時保護の人数を毎月各里親会が通知する必要があります。
自分の所属している里親会が里親の家財補償のコースを選択していない場合に、
自分だけコースに加入できますか?
⇒ できません。各里親会で全員が同じコースになります。
【保険料が支払われない場合とは?】
・保険の規約によれば、戦争や国内紛争、暴動などによる損害については補償されません。
これは今の日本では考えづらい状況と言えるでしょうか。
・一番考えられるのは地震・噴火・洪水・津波などの自然災害による被害です。
これについても補償されません。
家の隙間から入る雨や雪による損害や、少し前に話題になった石綿などの有毒な物質に起因する
健康被害などに関してもやはり補償されません。
・里親の施設に関しては、新築・改築・修理・取り壊しなどに起因する賠償責任や、
原動力が人力以外の車両(自動車や船舶、飛行機など)に起因する賠償責任も補償されません。
・ペットなどの動物に起因する賠償責任に関しても保証されませんので十分に注意する必要があります。
・危険とみなされるスポ―ツ(ロッククライミング、高さ5mを超えるボルダリング、
ハンググライダーなど)を行っていたことに起因する賠償責任についても補償の範囲外に
なりますので、スポーツの選択には十分に注意しましょう。
・事故が起きてから180日以内に死亡や後遺症が確認された場合には保険金が支払われますが、
180日を超えてからは保険金が支払われないことになります。
・里親のケガへの補償ですが、これは「急激かつ偶然な外来の事故」である必要があります。
これは分かりやすく言うと、突発的な事故が起きた時のケガや、偶然による予測できなかった
体の外からの要因によるケガであるという意味です。
例えば靴擦れや車酔い、熱中症、しもやけなどは該当しませんのでご注意ください。
また自殺や車に酔った状態で運転、疾病や障害、妊娠や出産などに起因する賠償責任についても
補償の対象外になります。
主な理由は上記の通りですが、他にも保険料が支払われないケースがたくさんあります。
詳細や気になる点は、所属する里親会を通して保険取引代理店や損保ジャパン日本興亜まで
問い合わせてもらうなどして、事前に把握しておく必要があります。
【事故が発生した場合にはどんな手続きがいるの?】
万が一事故が起こってしまったら、一番大切なポイントですが損害の発生や拡大を
防止するためにできることを行ってください。
必要な費用は後ほど補償されることになりますので、
まずはトラブルの解決に向けて出来ることを行うのが重要です。
しかし、示談交渉やなどはせずに保険会社の指示を待つようにします。
そして自分が所属する里親会への通知を行います。
主に必要になるのは次の情報ですので、事故が起こった時に速やかに確認して控えてください。
(1)事故発生の日時
(2)事故発生の場所
(3)事故の状況
(4)被害者の住所、氏名、その他の名称
(5)事故の目撃者(証人)がいればその人の住所や氏名
(6)損害賠償の請求の内容(その時点で分かれば)
里親会がこれらの情報を元に保険の取扱代理店まで連絡し、必要な手続きをすることになります。
通知したあとも里親会とよく協力して必要な書類の作成や被害者とのコミュニケ―ションに努め、
速やかに解決を図るように努力することが大切です。
【まとめ】
このような保険があることは、現在里親として日々養育している方はもちろん、
これから里親になることを検討している方にとっても、安心できますね。
今回は令和2年度の里親総合保険制度についての概要をまとめてみましたが、
保険内容は毎年更新されていますので注意してください。
里親になろうと思うとたくさんのリスクに対して心配がつきません。
しかしこのような保険の内容をしっかりと把握し、
十分に通じておけばリスクに対する心の準備をすることができ、
子どもたちへの接し方にも余裕が生まれるに違いありません。
里親の皆さんの心の余裕は子どもたちの心の余裕や豊かさにもつながります。
この情報が皆さんのお役に立てば嬉しく思います。
さて、最後に一つ大きな注意があります。
この「里親総合保険」はファミリーホームには適用されません。
しかしご安心ください。
ファミリーホーム向けの「ファミリーホーム賠償責任保険」というものが
一般社団法人日本ファミリーホーム協議会によって設けられていますので、
そちらを利用することができます。
詳細はまた機会があればご紹介できればと思います。
↓↓↓
里親賠償責任保険 | 公益財団法人全国里親会 (zensato.or.jp)