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Zidonetです。
厚生労働省資料には、
「里親及びファミリーホーム養育指針」というものがあり、
日々子どもたちの養育をする里親は、
この基本理念や養育における考え方を踏まえています。
今回は、その養育指針を少しかみ砕いて、
見てみたいと思います。
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【里親及びファミリーホーム養育指針】
厚生労働省資料(平成24年3月29日)
第Ⅰ部 総論 【要約】
里親・ファミリーホームなんて自分には関係ない!?
あなたは「里親」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。
2015年に大阪の堺市で行われたアンケートでは、
3人に1人の人(約30%)が
「子どもに恵まれない夫婦が養子をもらうイメージ」と答えています。
またその半分の約15%の人は
「社会貢献に関心がある人がやっていそうだ」と答えています。
では「子どもに恵まれていて、社会貢献にもあまり関心のないあなたには関係ない話」
ということなのでしょうか?
悲しい現実として、
現在の日本には以前には当たり前のように見られた
「子どもたちは社会で育てるものだ」という風潮や文化が失われつつあります。
もちろん様々な原因がありますので、
そのように考えない人達を”悪い人”と決めつけることはできません。
しかし、
現実問題としてそのような考えを持つ大多数の人たちが
日本の社会を形成している結果、
親の病気や離婚、そして虐待などの問題により生みの親と暮らせない子どもたちには、
本当に必要な助けが差し伸べられないままになっているのです。
皆さんはこの現実をどう思われるでしょうか?
社会全体で子どもたちを育てるためには、
私たち里親やファミリーホームなど社会的養護の現場に
従事している人たちだけが努力しても意味がありません。
地域社会の全ての皆さんの協力が必要です。
そこで、今回は平成24年3月29日に厚生労働省から出された、
里親やファミリーホームの目指すところや、
活動内容を説明している資料である「里親及びファミリーホーム養育指針」を
多くの人に分かりやすいように簡単に要約させていただきたいと思います。
この記事を通して「すべての子どもを社会全体で育む」ための
社会的養護について身近に知っていただければ嬉しいです!
まず全体を概観しましょう。
まずこの「里親及びファミリーホーム養育指針」(以下、養育指針)が
なぜ作られたのか、そこから説明していきたいと思います。
この養育指針とは、
里親やファミリーホームがどのように運営されていくものかを説明し、
関係する全ての人つまり社会全体の人に「社会的養護」、
つまり「社会全体で子どもを育むという考え方」の必要性や
その取り組みについて知ってもらうためのものになります。
そして何よりも重要なのは、全ての子どもが幸せに生活し、
成長していくための社会をみんなで作っていこう!
ということになります。
ですから、この「養育指針」は役所の書類レベルの情報でとどまってもらっては困ります。
一人でも多くの人に知ってもらうことが必要なのです。
「社会全体で子どもを育てる」という考えの基本
全ての子どもは幼いと言っても一人の人間です。
ですから、どんな子どもであっても大人と同じように
幸せになるために社会から助けてもらう必要と権利を持っています。
親ならだれでも自分の子どもに“最善のもの”を与えたいと思いますよね?
しかし、親がそれを与えられない状況にいる場合、
子どもには希望はないのでしょうか?
そこで必要になるのが社会全体としてそのような子どもの権利を守り、
“最善のもの”を受けられるようにするための仕組みです。
これが社会的養護の基本的な考え方(理念)になります。
では、どのように社会として子供たちの権利を守り、
最善のもの(利益)を与えることができるのでしょうか?
子どもに必要なのは「あたりまえの生活」です。
つまり自分の家で、親から愛されていることを疑うことなく、
安心して成長できる環境が必要なのです。
ですから、もし親に何かの問題が起きて
そのような環境が失われてしまった子どもの場合、
やはり社会が「家庭的な場所」を用意し、
「個人的に温かい関心を払ってくれる親代わりの人」がいて、
「子どもが安心して成長できる環境」を作ってあげなければなりません。
このようにして、自分の家庭に問題が起きてしまった子どもも
健全な家庭の子どもと同じように心身ともに健全に発達し、
将来の自立に向けて準備を整えていくことができるようになります。
もちろん全てが同じようにとはいきません。
残念ながら今の社会には”虐待”という悲しい現実があり、
そのような経験をした子どもは心に一生治ることのない
深いキズを抱えてしまっているかもしれないからです。
そのような場合には子どもの体や心を回復させるための
専門的な治療が必要な場合もありますし、
長期にわたって安心感を取り戻すための
辛抱強い援助が必要となることもあります。
また種々の問題を抱えてしまい、
子どものために適切な養育環境を保つことができなかった親へも援助が必要です。
子と親、
どちらにとっても「あたりまえの生活」を取り戻すために
社会全体が助けの手を差し伸べなければならないのです。
言うまでもなく、このような支援は簡単なものではありません。
支援が必要な子どもや親を助けるためには、
まずは親しい友人になり、
そして家族にさえなって人生を共に歩んでいく必要があるのです。
ですから、社会的養護とは「人とのかかわりをもとにした営み」である
と言いうことができます。
社会はまず何から取り組まなければならないの?
社会的養護は一朝一夕に実現することではありません。
社会全体が、そしてそこにいる全ての人が
意識を持って変わっていく必要があるからです。
では現在の日本の社会の状況を考えて、
まずはどんな活動から始めて行けばいいのでしょうか?
まずは今、緊急に助けを必要としている子どもや親を受け入れ、
支援を受けられるようにする体制を整える必要があります。
社会で起きている問題や子どもたちの置かれている状況は刻一刻と変化しているために、
どうしても後手後手に回ってしまうことは避けられません。
しかしそうではあっても出来る限り多くの親子を支援するための
体制を整えるための努力が払われています。
例えば現在は、原則として地域の中で家庭的に行われる養護である
里親やファミリーホームといった制度が優先されるような体制になっています。
しかし、まだまだ全ての子どもたちの必要を満たせるほどの数がありません。
それで児童養護施設や乳児院などの施設でも、
できるだけ少人数のグループにしたり、
子どもたちと関わる職員を頻繁に変えないようにしたりして
家庭的な雰囲気で子どもたちをケアすることができるように努力が払われています。
それでも、
まだまだ人材・組織づくり、専門機関の整備などの問題が
山積みになっているのが現在の日本の社会的養護の現状です。
では次に、
里親・ファミリーホームはどのような役割を担っていくことが
期待されているのでしょうか?
【後半】へ続く↓↓
里親とは何か。~里親及びファミリーホーム養育指針「第1部 総論」②~
記事:Zidonet 徳久