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里親と実親の大きな違い、知ってますか?【里親月間特集】
【目次】
里親と実親には「権利の違い」や「感情の違い」がある
・里親と実親の「権利の違い」とは?
・里親と実親の「感情の違い」とは?
・里親・実親間のトラブルの解決策
・まとめ
【概要】
今回も里親月間特集として、
少し大きな観点で子どもたちの委託が進まない現状について
知っていただければと思います。
私たちZidonetのホームページにも載せられているのですが、
里親委託が進まない一番大きな理由は
「実親・親権者が里親教育を望まない(同意しない)」ことです。
実に現在社会的養護が必要とされる4万5千人以上の子どもたちの内、
相当数がこの理由で里親家庭ではなく施設で過ごすことを余儀なくされています。
詳しくはこちらのページを参照してください。
この現状を考えるにあたり、
今回は「里親」と「実親」の間にはどんな違いがあるのか、
問題が起きた場合にどのような解決策があるのかを解説していきたいと思います。
【里親と実親には「権利の違い」や「感情の違い」がある】
まず、里親と実親の「権利の違い」、「感情の違い」を理解しておくことは大切です。
特に里親として活動を始めるにあたり、この違いをクリアにしておかないと
後々非常に苦しい思いをする可能性があるからです。
では一つずつ考えていきましょう。
【里親と実親の「権利の違い」とは?】
まず覚えておきたいのは、「親権」を持っているのは
基本的に「実親」であるということです。
ちなみに「親権」とは、子どもを監護・養育し、
子どもの居場所を指定し、懲戒やしつけを行い、
財産を管理し、子どもの代理人として法律行為をするための権利や義務のことをいいます。
それに対して里親(ここではまず養育里親について説明します)は
「親権」の中の、子どもを監護・養育し、懲戒やしつけを行う権利だけを付与されています。
子どもの居場所を指定したり、
代理人として法律行為をしたりすることはできません。
簡単に言うと、里親は実親から「子どもを預かっている」だけだということになります。
この権利の違いがどのように影響するかというと、
非常に極端な例ですが「実親に虐待された子どもを病院に連れていくために、実親の許可を得ることができない」、
もしくは「実親の気まぐれで、委託された子どもが劣悪な環境に連れ戻されてしまう」
ということもあり得ます。
この際に里親にできることはほとんどありません。
里親と里子が「特別養子縁組」を結べば実親から里親へ「親権」が移行されますが、
この場合にも基本的には実親の同意が必要になります。
つまり、常に実親が子どもに関する最終決定権を持っているということになります。
【里親と実親の「感情の違い」とは?】
実親と里親には大きな感情の違いもあります。
例えば様々な状況で子どもを育てられない実親の多くは、
子どもを里子として里親家庭に預けることを望みません。
子どもがより良い環境で養育されることよりも、
里親に「子どもを取られてしまう」という
心配の方が大きくなってしまう場合が少なくないのです。
そして里親を目指す人の多くは、
「子どもを自分の子どもとして受け入れたい」と思っている場合が少なくありません。
子どもの益を一番に考え、委託された子どもを愛しています。
その感情は時に「きちんと養育できない実親のもとには子どもを返したくない」
という気持ちにつながることさえあります。
このような感情の違いは時にトラブルを生みます。
実親・里親のどちらかもしくは双方が嫉妬心を抱いてしまい、
関係が悪くなった結果、委託を解除せざるを得なくなったり、
もしくは里親が子どもを愛するあまり、
本当の生い立ちを話して聞かせることに困難を覚えてしまったりする場合があるのです。
このような感情の問題も里親制度が社会に浸透するため、
また多くの里親世帯が活動を続けて行くための課題となっています。
【里親・実親間のトラブルの解決策】
現状、実親が持っている「親権」の誤用を解決する直接的な解決策は存在しません。
「感情」に関する問題も同様です。
子どもを手放す、もしくは預かるというのは、
親にとっても、子どもにとっても人生を左右する大きな決定だからです。
全く同じ人間が存在しない以上、トラブルが起きた際の解決策も一つではありません。
助けを必要とする子どもがいる限り、
社会全体として子どもたちの最善の養育を目指して努力を続けていく必要があるに違いありません。
しかし、だからと言って里親になるのをあきらめる必要はありません。
里親としての活動が長い人であれば悩んだ経験や具体的な
対処方法についてのアイディアを持っているものです。
そのような経験を聞いたり、
お互いに悩みを話して励まし合ったりすることで、
今の自分にできる最善の社会的養護を行っていくことができます。
そのようにして、あなたも一人でも多くの子どもを助けることができるのです。
さらに近年、
里親制度の課題点や問題点、社会的養護の必要性について飛躍的に情報が増えてきています。
例えば昨年2020年に公開された映画「朝が来る」では
特別養子縁組を通して実親と養父母の関係がリアルに描かれています。
このように様々なメディアを通してより多くの人が社会的養護の現実を知れば、
助けを必要とする子どもたち全てが幸せに生きていける社会に、
また一歩近づくことができるに違いありません。
【まとめ】
今回は里親になるためにどうしても知っておかなければならない
実親との権利・感情の違いや、問題の対処方法についてご紹介してきました。
社会の大きな課題を知って少し不安に感じられたかもしれません。
しかし、覚えていて欲しいのは里親が経験するのはトラブルだけではないということです。
もちろん不安や苦労は少なくありませんが、
それ以上に大きな喜びや幸せを子どもたちと分かち合うことができる価値ある仕事です。
もしあなたが里親に興味があったり、
分からないことがあったりした時にはぜひ私たちにご相談ください!
私たちのできる限りサポートさせていただきます!
さて、来月は虐待防止月間となっています。
引き続き虐待関連のコラムを掲載していきたいと思いますので、
ぜひブログをチェックしてくださいね!
徳久